2021.11.05
国宝【厚藤四郎写し】製作中
国宝【厚藤四郎写し】製作中。近年ご依頼が集中している厚藤四郎写し。大変重ねの厚い三つ棟の鎧通し造りで、短刀寸ながら迫力満点です。
Japanese Sword
National treasure
ATSU-TOUSHIROU
“UTSUSHI”
厚藤四郎は粟田口吉光作の短刀で、室町将軍家足利家から数々の大名の所有を経て豊臣秀吉に渡り、現在は東京国立博物館蔵に所蔵されてます。重ねが4分程もあるので「厚藤四郎」の異名が付いてます。読み方については「あつとうしろう」とも「あつしとうしろう」とも。鎧通し(よろいとおし)に分類される造りで、組み討ちのとき、鎧の隙間から刺すため鎧通し・刺刀とも、首取りの解首刀とも呼ばれてます。鎧の隙間から刺すことを目的に設計されているため、身幅を狭く、重ねを厚く、断面的には三角形に近い形となります。城攻めで石垣の間にさし込み、それを利用して、よじ登ることもあったそうです。拵は合口拵となり、右腰にさすため、栗形や返り角は外側(差し裏)につけ、返り角の頭が、普通とは反対に鐺のほうを向けてつけます。それは下げ緒を返り角にからめて、組み討ち中、右の片手で抜いても、鞘ごと脱けて来ないようにするため。なお、鐺に犬招きをつけ、下げ緒をそれに通し、鞘にからめる方法の他、返り角をなくして鐺を銀ばりで三角形にし、棟のほうに鎬を立てる方法もあったようです。腰にさす場合、柄を前、鐺を後にするが普通ですが、それでは敵と組み合った際に刀身が自然に抜け出す恐れや、敵が逆にこちらの柄を握り、刀を抜く恐れがあるため、古くは柄を後に、鐺を前になるように指していたようです。
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