2022.05.15
桐紋の透かし彫り入り二重ハバキ
桐紋の透かし彫り入りの二重ハバキ。
現在製作中の【国宝 日光一文字 写し】用に誂えたハバキです。
ハバキの名の由来は、蛇の姿をした縄文時代の地母神「ハバキ神」という説があります。おなじく東北地方を中心に縄文時代に信仰された神「アラハバキ」は、太陽の男神「アッラー」と、大地と月の女神「ハバキ神(=月読)」の合体神という考え方もあります(諸説あり)。刀の茎を通す穴のあいたこの金具(ハバキ)は女陰を象徴しており、それを貫く刀の茎は男根を象徴していると解釈すると、日本刀は「アラハバキ」を象徴しているのかもしれませんね。
ハバキは刀と鞘が不意に離れるのを防ぎ、かつ鞘の中で刀身を浮かせたまま支えるための部材です。刀身は鞘の中で棟(むね)とハバキによって支えられ、他の部分は宙に浮いている状態で保持されます。拵や白鞘もハバキを基本にして製作され、鍔、切羽などの精度も各金具もハバキの精度に依存する形となります。ハバキがガタついていると拵全体がガタついてしまうだけでなく、刀を痛めてしまう事もあります。そのため、日本刀の付属金具の中で、もっとも重要な役目を持つ部材となってます。当初は一重ハバキが主流でしたが、江戸時代になると技巧性の高さや格式の高さを求められるようになり、この画像のハバキのような超絶技巧作品といえる二重ハバキ(2ピース構造のハバキ)が大名達の間で流行しました。
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